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あらがき貸衣裳

沖縄の長寿祝いで起こった悲しさと感動のお話

  • 執筆者の写真: 貸衣裳 あらがき
    貸衣裳 あらがき
  • 4月11日
  • 読了時間: 4分

沖縄には、88歳の長寿を祝う「米寿」という特別なお祝いがあります。


先日、あるお客様(仮称:幸子さん)からお電話で米寿の衣装をご注文いただきました。


「腰が悪いから羽織のみを借りたい」とお受けし、当日衣装を取りにいらした際には、


「赤のちゃんちゃんこもレンタルしたい」とのこと。


急な話でわたくしどもも不思議に思いましたが、これがまさかの感動的な話になるとは。。。

幸子さんが88歳になったお母さん(仮称:ウメお母さん)に米寿の祝いをしようと提案したところ、ウメお母さんの反応は予想外のものだったといいます。


「私に早くあの世にいって欲しいの?」



思わず耳を疑ったという幸子さん。


沖縄では親族が一堂に集まり盛大に長寿を祝うのは当たり前に行われています。それなのになぜウメお母さんがそこまで強く拒否するのか理解できなかったそうです。


ウメお母さんは長年ホテルで働いており、数々の華やかな祝いの席を見てきたそうです。けれど、自分自身が主役となるのは初めてであり、常に人のために尽くしてきた彼女にとって、自分が祝われるという状況は恥ずかしく、気まずさすら感じていたのかもしれません。


何度も説得を試みたそうですが、ウメお母さんの拒否は変わらず、次第に家族の空気も重くなり少し悲しくなっていったそうです。


「お母さんが嫌なら、もう無理には…」


諦めかけたその時、


幸子さんにあるひらめきが生まれました。



お兄さんがちょうど還暦を迎えるタイミングだということに気づいたのです。


お兄ちゃんの還暦祝いをするから、一緒に出てほしい。お兄ちゃんのためにも、家族みんな揃ってお祝いをしよう


ウメお母さんは大好きな息子のためならと、ようやくその提案を承諾してくださったそうです。(そうなんです!だから赤のちゃんちゃんこだったのです!)


家族は胸をなでおろし、お祝いに向けての準備を進められました。


いよいよお祝いの当日がやってきました。



最初に記念撮影をされたそうですが、この時もまだ衣装があることは内緒にしていたということです。


事前に伝えるとまた拒否されそう。


でも、せっかくのお祝いなので晴れ着をきて欲しいと思い、親族総出で作戦を練ったそうです。


ウメお母さんには孫が、お兄さんには妹たちがそれぞれ衣装をさっと着せて、記念写真を撮ったそうです。


お二人とも驚きつつも恥ずかしそうにお写真を撮影されたとのことです。


娘さんがウメお母さんへ亡き旦那様のお写真をお渡しし、


「みんなで写ろう」と一言


ウメお母さんはとても笑顔になったとか。



その笑顔に今でも色褪せない夫婦愛を感じたそうです。


その後食事会が始まり、和やかな空気が流れていたといいます。


その後、お子さんやお孫さんからウメお母さんへ今までの感謝の言葉を伝え


息子娘さんだけでなく、お孫さん達も涙ながらに


「おばあちゃんいつも本当にありがとう」


「これからは私たちを頼ってね」


「あたしの結婚式まで元気で長生きしてね」


などの言葉を伝え、会場は温かく優しい空気に包まれ


いつも強く人のために尽くしてきたウメお母さんの瞳にも涙が溢れたそうです。





「おばあちゃん、大好きな歌を歌うからね。」


孫たちがウメお婆ちゃんが大好きなかりゆし58の『アンマー』を歌い始めたそうです。


歌が終わると、ウメお母さんは「もう一回歌って!」と涙を拭いながら嬉しそうに手拍子をされたそうです。


その日、『アンマー』は計3回歌われ、ウメお母さんは笑顔と涙を繰り返しながら、家族の深い愛情を全身で感じていらっしゃったとか。

お祝いが終わって翌日


私どものお店に衣装の返却にいらした幸子さん


いろいろと大変なことあったかと思いますが、お話を伺った後、それでも


「本当にやって良かったです。衣装ありがとうございました」


というお言葉にこちらも目頭が熱くなりました。


衣裳屋冥利に尽きます。



終わりに

米寿のお祝いはただの儀式ではなく、家族が改めてお互いの存在に感謝し、絆を深め合う最高の機会であると、幸子さんのお話を通して深く実感しました。


人生の節目を家族で祝うこと、それは特別なことをするから意味があるのではなく、日々の感謝や愛情を言葉にできる大切な時間だからこそ意味があるのだと、わたくしどもは改めて気づかされました。


そんな温かいお話を聞かせてくださった幸子さんに、心から感謝申し上げます。ご家族の絆・深い愛情に触れさせていただき、わたくしどもも大切なことに気付かさえせていただきました。


あらがき貸衣裳は、今回の米寿祝いのような節目はもちろん、カジマヤー(97歳)や100歳祝いなど、沖縄の伝統的な生年祝いにご利用いただける琉装・式典衣装・ちゃんちゃんこを多数ご用意しております。


ご家族の大切なひとときを、より華やかに、より心に残るものにするために、お気軽にご相談ください。




 
 
 

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